「芯芯工房」と呼ばれるほど、芯材にこだわっている話
投稿日: 投稿者:仙入寛章
こんにちは。新進工房の仙入寛章です。
今回は、先日BP様との打ち合わせで言われた、ちょっと面白い話を書きたいと思います。
ちなみに新進工房では、バッグや財布の生産をお願いしている会社様のことを「BP様」と呼んでいます。
BPとはビジネスパートナー様のことです。
僕たちは「下請け」という言葉をあまり使いたくなくて、一緒に良い作品を作ってくださる大切なパートナーという意味で、BP様と呼ばせていただいています。
「新進工房さんは、芯芯工房ですね」と言われました
そのBP様との打ち合わせの中で、こんなことを言われました。
「新進工房さんって、本当に隅々まで芯材をこだわって使っていますね。」
「ここまで細かく芯材を指定してくるところは、なかなかないですよ。」
そして最後に、こう言われました。
「僕たちの周りでは、新進工房の“新進”は“新しく進む”ではなく、芯材を使いまくるから“芯芯工房”って呼んでいます。」
陰でそんなことを言われていたのかと思いました。
でも、正直ちょっと嬉しかったです。
ただ、仕事を受ける側からすると、普通の芯材より倍くらい価格がする芯材を、細かく何重にも重ねて作るように指示書が来るわけです。
それはたしかに、ちょっと嫌だろうなと思います。笑
作りにくくてごめんなさい。笑
なぜそこまで芯材にこだわるのか
新進工房では、YouTubeの企画でハイブランドのバッグや、価格は安いけれどクオリティに差が出やすいバッグを分解して、どこにコストがかかっているのか、なぜ長く使えるのかを解説することがあります。
実はこれは、YouTubeを始める前からずっとやっていました。
技術の勉強のために、いろいろなバッグや財布を分解して、構造を見て、どう作られているのかを研究してきました。
そこで、はっきり言えることがあります。
ハイブランドや、しっかりものづくりをしていて長持ちするブランドに共通しているのは、芯材の使い方が本当に美しいということです。
バッグや財布の美しい形を作っているのは芯材です
バッグや財布は、表から見ると革の美しさやデザインに目が行きます。
もちろん革も大切です。
縫製も大切です。
金具も大切です。
でも、その作品の形を美しく保っているものの一つが、芯材です。
表から見て「なんか形がきれいだな」と感じるバッグ。
使っていて「なかなか型崩れしないな」と感じる財布。
そういう部分には、見えないところで芯材がしっかり効いています。
逆に、芯材の使い方が甘いと、最初は良く見えても、使っていくうちに形が崩れたり、負荷がかかる部分から傷みやすくなったりします。
負荷がかかる場所こそ、見えない補強が大切です
バッグや財布には、使っていると必ず負荷がかかる場所があります。
持ち手の付け根。
ファスナーの端。
角の部分。
開け閉めでよく動く場所。
そういった部分を丁寧に芯材で補強することで、作品の強度や使い心地は大きく変わります。
ただ、芯材は基本的に表から見えません。
お客様が作品を手に取った時に、「ここにこの芯材が何枚入っている」とすぐに分かるものではありません。
でも、長く使った時に差が出ます。
なぜか丈夫。
なぜか形がきれいなまま。
なぜか使いやすい。
そう感じていただける理由の一つに、芯材の使い方があります。
ハイブランドとの差は、見えないところに出ると思っています
ハイブランドのバッグも、普通に見ているだけでは、どこにどんな芯材が使われているかは分からないと思います。
でも、分解して中を見ると、本当に丁寧に作られています。
表からは見えないところに、きちんとコストと手間をかけている。
僕たちは、そういうものづくりを目指しています。
見える部分だけをきれいにするのではなく、見えない部分ほどしっかり作り込む。
それが本当のものづくりだと思っています。
誰も気づかないところほど、ちゃんと作りたい
芯材は、言ってしまえば日陰の仕事です。
もちろん日陰の仕事という言い方が正しいかは分かりませんが、表から目立つ存在ではありません。
でも、作品を長く使っていただくためには、とても大切な存在です。
誰も気づかないかもしれない。
でも、ちゃんと作る。
お客様が数年後に、
「これ、まだ全然使えるな」
「形がきれいなままだな」
「新進工房の作品は安心できるな」
そう思ってくださるなら、見えないところに手間をかける意味は十分にあると思っています。
芯材へのこだわりは、お客様への安心につながる
新進工房が芯材にこだわる理由は、ただ作りを複雑にしたいからではありません。
お客様に安心して長く使っていただきたいからです。
見た目の美しさ。
使いやすさ。
型崩れのしにくさ。
負荷がかかる部分の強さ。
そのすべてに、芯材の使い方が関わっています。
だからこそ、新進工房では細かく芯材を指定します。
BP様からすると、かなり面倒な指示かもしれません。
でも、それだけ新進工房としては、作品の見えない部分にも責任を持ちたいと思っています。
「芯芯工房」と呼ばれて、少し嬉しかったです
今回、BP様に「芯芯工房」と言われて、最初は笑ってしまいました。
でも同時に、僕たちがこだわっている部分がちゃんと伝わっていたんだなと思いました。
それは少し嬉しかったです。
作りにくい指示書を出している自覚はあります。
普通より高い芯材を使って、細かく何重にも重ねて、場所によって使い分けて。
BP様からすると、たぶん大変です。
それでも一緒に良い作品を作ってくださっているBP様には、本当に感謝しています。
そして、これからも新進工房は「芯芯工房」と呼ばれるくらい、見えないところまでしっかり作り込んでいきたいと思います。
何度も言いますが、作りにくくてごめんなさい。笑
でも、これからもよろしくお願いいたします。


